がんは怖い、というのが本音。たしかに手遅れといわれるような進行がんであれば、治療の選択肢は少なくなります。しかし、いまの時代、がん検診の精度が上がり、比較的早い時期でのがんの発見が可能となりました。
高齢化、食生活の欧米化に伴い、患者数の増加が際立ってきたのが、女性の場合は乳がん、男性の場合は前立腺がんです。いずれのがんも、性ホルモンが関係するがん。ホルモンバランスが崩れかける、男女ともに「更年期」世代以降に特徴的にみられます。厄介なのが、ほとんど無症状であるということ。たまたま、がん検診を受けてみたら、見つかるというケースが少なくありません。
前立腺は、男性性器のさらに奥、膀胱の出口付近の尿道を取り巻くようにして存在します。その位置は身体のど真ん中。大きさはクルミの実くらい。外からは、その存在すらわかりません。でも、肛門から指を入れると、前立腺に容易に触れることができます。これは直腸診といった診断法で、触診のひとつ。女性の乳房触診と同じようなものです。
もうひとつ、血液検査で前立腺のがんのリスクをみる方法に、腫瘍マーカーのPSA(Prostate Specific Antigen)があります。この数値が高いほど、いけません。
さて、ここに紹介するザクロが、このPSAの値に良い影響を及ぼすという報告があります。
米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAllan J. Pantuckらの報告 *1)が、そのひとつ。前立腺がんの患者さんに一日240mLのザクロジュースの飲用を続けたところ、全体の83%の患者さんにおいてPSA値上昇が抑制されたと報告しています。正確には、がんの進行とともに上がるはずのPSA値の、その上がり具合が目に見えて鈍化したというものです。
前立腺がんの細胞を培養した試験管内での実験でも、がん細胞の増殖を抑制し、さらにがん細胞の死滅が確認されました *2)。
ザクロに含まれる植物由来物質が、がん予防の可能性をもつことが期待されています。
つまり、ザクロは、(シリーズ第1回でお話したように)あなたの艶やかさを保つだけでなく、大切なパートナーの健康も気づかう果物なのです。
互いのパートナーを思いやる心がけが、二人の生活を素敵にします。いつまでも仲良くいたいと思うお二人には、ザクロジュースをおすすめします。
シリーズ第2回は、パートナーの健康を考える、ザクロの幸せなチカラでした。
注意事項
※PSA検査等で異常を指摘された方は、泌尿器科専門医の適切な指導を受けてください。
※男性型脱毛症の薬や一部のサプリメントを服用していると、PSA異常値を検出できない場合がありますので、検査時に医師に申告してください。
※薬物療法と同じ治療効果を期待するものではありません。
参考文献
*1) Allan J. Pantuck, et al., Phase II study of pomegranate juice for men with rising prostate-specific antigen following surgery or radiation for prostate cancer. Clin Cancer Res, 2006; 12(13) July 1: 4018-4026
*2) 朝元誠人ら、名古屋市立大、2006年9月28日、日本癌学会(横浜)発表
関連図表
図 前立腺がん患者数の予測